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    May, 2009

    布日古徳

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    September, 2006

    「民族企業」成長に光と影

    「民族企業」成長に光と影
    ボルジギン・ブレンサイン
    早稲田大学モンゴル研究所客員研究員
    (中国・内モンゴル自治区) 

    一杯の牛乳が日本人を変えた--中国のマスコミで最近よく見かける言葉だ。戦後の学校給食を通じて日本人の体格が大きく向上したことに、中国人が後れを取ったと焦る気持ちをあらわしたものらしい。経済成長を続ける中国では都市住民を中心に、毎日牛乳を一杯飲み、肉を食べる。それも内モンゴルなどの天然の牧草地で産出する牛乳や肉を食べるという緑色食品ブームが起きている。

    それに乗って急成長したのが内モンゴル自治区を拠点とする伊利、蒙牛といった大手乳製品メーカーである。蒙牛は02年度に売上高を20倍にし、中国の急成長企業100社のトップに立った。北京の三元や上海の光明など全国大手も相次いで内モンゴルに工場進出を果たし、「大草原」ブランドで市場戦略を立てている。内モンゴル産羊肉を販売する草原興発も上場企業として全国的なシェアを誇っている。

    内モンゴルなど少数民族居住地域の資源に立脚したこのような産業を中国では俗に「民族企業」と呼ぶ。少数民族対策の政治的色彩が濃い面があるが、都市の生活水準が向上するに伴って、大草原に生きてきた遊牧民の生産物がビジネス化され、急成長を遂げること自体は喜ばしいことだ。

    しかし、大草原のイメージを売る緑色食品ブームの過熱ぶりとは裏腹に、それを支えるはずの内陸部草原の砂漠化は深刻である。家畜は減少著しい天然牧草地から締め出され、混合飼料で飼われている。もはや「緑色食品」は看板に偽りありというのが現実である。

    また、シリンゴル草原やホロンバイル草原など、ごく限られた地域でしか出荷できなくなっている上質の羊肉も、度重なる自然災害と強引な草原利用の制限で生産が安定しない。「民族企業」の健闘ぶりにもかかわらず、内モンゴル自治区は経済的に最も後れをとっている地域であり、沿海地域への原材料供給地という構図は変わっていない。

    そして憂慮されるのは、こうした「民族企業」の主役の中に、当の少数民族、遊牧民族の姿がほとんど見えないことである。

    2003年2月14日